リウマチ科

関節リウマチとは

関節リウマチ(Rheumatoid Arthritis:RA)とは、多発性関節炎を主な症状とする慢性炎症性自己免疫疾患です。
膠原病の中でも一番患者数が多い疾患で、発症する原因は未だによく分かっていません。
一昔前は「慢性関節リウマチ」と呼ばれていましたが、必ずしも関節リウマチの患者様が慢性の経過をたどるとは限らない点と、英語表記に慢性という表現がない点から、2006年に正式名称が「関節リウマチ」に変更されました。
関節滑膜に症状が起こり、寛解と再燃を繰り返すのが特徴です。進行すると、軟骨や骨が破壊され、関節組織の変形が起こります。

関節リウマチの症状

初期症状朝のこわばりや関節の腫れ・痛み、変形が起こり、進行すると歩行障害や機能障害が生じ、日常生活で行う動作が上手く行えなくなります。
関節炎は、全身のどの関節にも起こり得ます。また、皮下結節や強膜炎、アミロイドーシスなど、関節以外にも症状が起こることもあります。

関節リマウチの原因

原因は未だに解明されていません。しかし、何らかの疾患に関連する遺伝子(疾患感受性遺伝子)の背景がある方に、喫煙や歯周病、腸内フローラ(腸内細菌叢)の乱れなどの影響が生じて遺伝子が修飾されることで、体内にシトルリン化タンパク質ができます。
それに対する自己抗体(抗シトルリン化ペプチド抗体)ができることでシトルリン化タンパク質が異物だとみなされ、自己免疫異常として関節内の滑膜炎が引き起こされるのではないかという説が有力視されています。

関節リマウチの疫学

国内にいる患者の割合は約0.5%とされ、約70万人の関節リウマチ患者がいると報告されています。
30~50代に多くみられますが、高齢化に伴い、60代以降で発症する方が近年増えています。男女比は1:3~4と、女性に多い疾患です。
遺伝性疾患ではありませんが、一卵性双生児で片方が関節リウマチを発症した場合、もう片方の発症率は約10倍も高くなると報告されています。
この報告から、何らかの遺伝的関与はあるのではないかと指摘されていますが、環境要因による影響の方が大きいとも言われています。

関節リマウチの診断

決定的な診断方法はありません。問診と身体所見、血液検査、画像検査の結果を総合的に判断してから、診断を下します。
診断は、1987年と2010年に、アメリカリウマチ学会(ACR)とヨーロッパリウマチ学会(EULAR)によって提唱された関節リウマチ診断基準(分類基準)を基準に行います。
既に、関節リウマチの症状である関節の変形がある場合や、レントゲン上での関節変化が見つかった場合は、すぐに診断できます。しかし、発症早期の患者様の診断は、時によって難しい場合もあります。
以下の重要な5つの情報が、診断の決定打になります。

  • 診察や画像検査で明らかに関節炎(関節の腫れ)が発見されたこと
  • 症状が数週間以上も続いていること
  • 血液検査でリウマチに関する項目に陽性反応があること(リウマチ因子・
    抗環状シトルリン化ペプチド抗体)
  • 炎症反応(CRP・赤血球沈降速度)が高いこと
  • レントゲン変化がなくてもMRIや超音波検査で関節炎が見られたこと

また、関節リウマチではない疾患の可能性を、先述した検査などの段階で除外し、合わない治療法を提供してしまうといったトラブルを起こさないよう努めています。
当院では、MRI以外の検査は全て受けられます。発症早期からでも診断可能です。
MRI検査が必要な方は、当院と連携している医療機関へ紹介します。

関節リマウチの治療

発症早期(特に早期の2~3年)に、関節破壊が急激に進むという研究報告が認知されるようになり、抗リウマチ薬(メトトレキサート)やステロイドなどを積極的に活用しております。

抗リウマチ薬とは

抗リウマチ薬とは免疫のコントロール(調整・抑制)を促し、リウマチの進行を抑える薬です。
メトトレキサート(製品名:リウマトレックス)は、世界的に知られている治療薬です。ただし、間質性肺炎や肝障害・感染症などのリスクもあります。薬は他にも、サラゾスルファピリジン(製品名:アザルフィジン)やブシラミン(製品名:リマチル)、タクロリムス(製品名:プログラフ)などが挙げられます。

ステロイドとは

急性の痛みを解消させる時に使います。免疫を抑制させて関節の炎症を抑えることで、痛みを緩和させます。
長期的に服用し続けると、胃潰瘍や感染症、骨粗鬆症、糖尿病などのリスクが高くなります。
服用する際は、副作用を防ぐための薬も飲んでください。

非ステロイド系抗炎症薬とは

発熱や痛みの原因となる、プロスタグランジンの産生を抑えることで痛みを解消させます。
胃潰瘍や腎障害といった副作用のリスクがあります。

生物学的製剤とは

関節リウマチの炎症に関わる分子のみを阻害して、効率的に炎症を抑える薬です。
従来の抗リウマチ薬と比べて、「短時間で効果が現れる」「関節の痛みや腫れなどの症状にかなり効く」「骨破壊の進行を食い止め、変形などの関節破壊を抑える」「多くの関節リウマチ患者に有効」という効果があります。
そのため、今まで多くの患者様に処方されてきたステロイド剤や消炎鎮痛剤の量を減らすことができ、治療における副作用も軽くなりました。
ただし、新薬ですので「悪性腫瘍や自己免疫疾患の誘発リスクが懸念されている」「製剤が高価である」といった課題点もあります。
当院では、生物学的製剤が必要と判断された際には、大学病院のリウマチの専門家などへご紹介させていただくことがあります。

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