ガングリオンとは
ゼリー状の物質が中に詰まった腫瘤(しゅりゅう)のことで、腫瘤は柔らかいものから硬いものまで様々あります。
発生しやすい箇所は手の甲側(手関節背側)で、ここは手関節の関節包(関節を包む袋)につながっています。
手首の親指(母指)側にある手のひら側の関節包や、指の付け根の手のひら側の腱鞘などにも出てきやすいのですが、手以外の部位にも現れる可能性はあります。
なお、骨や筋肉、神経などにできたガングリオンは、粘液変性したものが融合してできたのではないかと考えられています。
ガングリオンの症状
サイズは米粒大からピンポン球大程度です。
神経の近くにできた場合、神経が圧迫されて痛みなどの症状が現れるようになります。
また、しびれや運動障害を伴うこともあります。手を酷使すると腫瘤が大きくなる恐れがあります。
ガングリオンの原因
発生する原因は未だにはっきりとされていません。手を酷使したからといって、必ず発症するものでもありません。
ガングリオン自体は良性の腫瘤であり、若い女性の方がかかりやすいとされています。
関節液や滑液(腱と腱鞘の潤滑油のような役割を持つ液体)がガングリオンの袋に溜まり濃縮されることで、ゼリー状の腫瘤となります。
関節や腱鞘にできるガングリオンは関節や腱鞘へつながっていて、関節包につながる長い茎でつながっていることが多いです。
ガングリオンの診断
触診を行ってから注射針で刺し、ゼリー状の内容物を吸い出していきます。吸い出せましたらガングリオンの診断を下します。手関節の痛みがなかなか治らない不顕性のオカルトガングリオンなど、外側から触ることができないような小さいガングリオンの場合は、超音波検査やMRIを受けていただきます。MRIが必要な方は、当院と連携している医療機関へ紹介します。
超音波検査
超音波を体外からあてて、跳ね返ってきた超音波によって体内の画像を映し出すことで、身体の中の様子を観察することができる検査です。
お腹や心臓などの状態を調べる時に用いられることが多い検査法ですが、手や足の状態を見ることも可能です。
調べたい部位をより正確に観察するために専用のジェルを塗り、プローブ(超音波が出る機械)を優しくあてて行います。プローブの先端にあるものが画像として映し出されることで、腫瘤の中の様子がその場で確認できます。
また、超音波検査は放射線を用いないため、被曝リスクがありません。他にも、その場ですぐ検査できるというメリットもあります。
超音波検査はメリットの多い検査方法ですが、調べたい箇所の付近に骨のような硬いものがあると、上手く調べられない場合もあります。
特に、足首や膝、肘などを調べる時は、上手くいかないこと可能性があります。
ガングリオンの治療
痛みを伴わないガングリオンの場合は、特に治療せず自然治癒させる方向でも治りますが、他の疾患も疑われるため、整形外科へ必ずご相談ください。
サイズが大きくて日常生活に支障をきたすもの、痛みやしびれ、運動障害などを伴うものは、治療を受ける必要があります。 注射針で刺して中身を吸い出す吸引療法が一般的ですが、ガングリオンを押しつぶす治療法もあります。
吸引療法の場合は、必要に応じて複数回受けていただくこともあります。また、ガングリオンを押しつぶす治療法の場合は、神経や骨、筋肉などの知識が豊富な整形外科医が、適切につぶさなければなりません。
ご自身で押しつぶしてしまうと、感染症などのリスクが高まる恐れがあります。
必ず、整形外科に相談して治していきましょう。 先述した療法を複数回受けても再発を繰り返してしまう場合は、手術で摘出していきます。
再発を防ぐには、茎を含めたガングリオンだけではなく、関節包の周りにできるガングリオン予備群の娘シスト(別の小さな腫瘤)の存在にも留意しなければなりません。